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中古×リノベで叶える“新築超え”:見積の裏にあるコスト構造
「新築より安くて、自分好みにできる」中古+リノベーションの魅力はそこにあります。
けれど実際に見積を取ってみると、「思ったより高い」と感じる人も多い。
その理由は、見積の“構造”を知らないまま価格を比べてしまうからです。
1. リノベ費用の内訳は「見えない部分」で決まる
中古リノベの見積は、大きく3層に分かれています。
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表層コスト(内装・設備・デザイン)
クロス、床、キッチン、浴室など“目に見える部分”。
グレードを下げれば調整しやすいが、全体の3〜4割程度にすぎません。 -
構造・インフラコスト(下地・配管・断熱・耐震)
築年数が古いほど増える部分。
耐震補強や配管交換、断熱改修など、見えないところに費用がかかる。 -
施工・管理コスト(人件費・廃材処理・諸経費)
解体→搬出→施工→検査の流れに伴う実費。
物価上昇や職人不足の影響で、ここが年々上昇しています。
つまり、デザインよりも既存建物の状態が価格を決める。
同じ間取りでも、築20年と築40年では工事の“下地リセット費”が倍近く違うこともあります。
2. 「リフォーム」と「リノベーション」は費用構造が違う
リフォームは「壊さず直す」。
リノベーションは「壊してつくり直す」。
この差は費用よりも、“工事工程”の数に現れます。
リフォーム=既存を残す工事:
・部分的な張り替えや交換が中心
・既存の寸法や配管を活かすため、工期が短い
リノベーション=再構築工事:
・スケルトン(躯体だけ残す)にして全面更新
・配線や断熱をゼロから組み直すため、新築と同等の工期とコスト構造になる
よく「リノベなのに新築並みの費用」と言われるのはこのためです。
ただし、新築よりも“場所・間取り・素材”の自由度が高いのが利点。
3. 見積で見るべき3つの数字
リノベ見積書で比較する際は、金額よりもどこまで含まれているかを確認します。
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解体・撤去費の扱い
「既存を残す部分が多い」と見積は下がりますが、
工事が始まってから劣化が見つかると追加費用になります。 -
仮設・諸経費の比率
全体の10〜15%程度が目安。
これが5%以下なら、どこかで人件費や管理費を削っている可能性が高い。 -
設計・管理費の有無
デザイン会社が入る場合は、設計監理費が別途10〜15%。
見積に含まれていないと、後から追加請求になります。
見積を“安い・高い”で判断するより、
工事範囲の線引きが明確かをチェックするのが正解です。
4. 中古×リノベのコストは「建物+設計+管理+余白」で見る
リノベ費用を単体で見ても、本質はつかめません。
中古住宅購入には、他にも固定費が重なります。
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物件価格(仲介手数料・登記費用を含む)
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リノベーション費用(工事+設計)
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引越・仮住まい・ローン手数料
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想定外費用(10%程度のバッファを推奨)
この“余白”を取らずに進めると、追加見積のたびにストレスが溜まります。
逆に、全体を把握しておけば、中古でも資金計画を新築以上にコントロールできる。
5. 「新築超え」になる条件とは
中古+リノベが“新築超え”の満足度になるのは、次の3条件を満たすときです。
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立地優先で選んだ物件を、自分仕様にできるとき
駅距離・学区・街並みなど、新築では手に入らない立地を選べる。 -
構造体に余力があり、性能を再構築できるとき
築浅やRC造では、断熱・耐震・配管を更新すれば性能面で新築並みに。 -
設計者と施工者が同一チームで動くとき
デザインと施工が分離していると、追加・調整コストが膨らみやすい。
一体管理のチームだと無駄が出にくく、最終品質が安定します。
まとめ:安さでなく“再構築力”で見る
中古+リノベの本当の価値は、価格差ではなく“再構築力”。
安く買って安く直す、ではなく、
既存をどう読み解き、どこに新しい価値を足すか。
見積書の金額より、
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解体・下地・配管にどこまで踏み込んでいるか
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設計と施工がどの段階で連携しているか
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余白(バッファ)をどう設計しているか
ここに注目すれば、“新築を超える家づくり”が見えてきます。
コストの裏を読める人ほど、リノベの自由を味方につけられる。