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賃貸の冬は寒い!「断熱等級5」の家なら暖房1台で本当に暖かい?
冬の朝、布団から出るのが辛い季節になりましたね。ここ所沢は内陸性の気候もあってか、都心よりも朝晩の冷え込みが厳しく感じられます。 賃貸アパートにお住まいの方にとって、冬は「寒さ」との戦いではないでしょうか。ファンヒーターの前から動けない、結露で窓がびしょびしょ、お風呂場が氷のように冷たい……。そんな悩みを抱えながら、「いつかは暖かいマイホームで暮らしたい」と夢見ているご夫婦も多いはずです。
最近よく耳にする「断熱等級5」や「エアコン1台で全館空調」という言葉。これらは本当に魔法のような効果があるのでしょうか?そして、それを実現するにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。 性能とコストのバランス、そして「本当に暖かい暮らし」の正体に迫ります。
そもそも賃貸アパートはなぜあんなに寒いのか
まず、現在のお住まいがなぜ寒いのか、その理由を少しだけ掘り下げてみましょう。多くの賃貸物件、特に築年数が少し経過しているアパートやマンションは、断熱性能の基準が現在よりも低い時代に建てられています。 壁の中に入っている断熱材の厚みが薄かったり、隙間があったりすることも珍しくありません。しかし、最大の犯人は「窓」です。 一般的な賃貸住宅で使われている「アルミサッシ」と「単板ガラス(一枚ガラス)」の組み合わせは、熱を伝える力が非常に強く、家の中の暖かさの約50〜60%が窓から逃げていくと言われています。 つまり、暖房で一生懸命暖めても、窓という大きな穴から熱がダダ漏れになっている状態なのです。これでは、光熱費がかさむばかりで、足元はずっと冷たいままというのも頷けますよね。
「断熱等級5」は家の魔法瓶化
そこで登場するのが「断熱等級5」というキーワードです。これは2022年に新設された比較的新しい断熱性能の基準で、国が推奨する「ZEH(ゼッチ)水準」に相当します。 専門的な数値の話は少し置いておいて、イメージで言うなら「家全体を高性能な魔法瓶にする」と考えてください。 等級5の家では、壁や天井の断熱材が分厚くなるのはもちろん、窓には「樹脂サッシ」や「Low-E複層ガラス(場合によってはトリプルガラス)」が採用されます。樹脂はアルミに比べて熱を伝えにくいため、外の冷気をシャットアウトし、中の暖気を逃がしません。 この「魔法瓶」のような性能があるからこそ、少ないエネルギーで部屋を暖めることができ、一度暖まるとその温度が長時間持続するのです。
エアコン1台で家中暖かいは条件付きの真実
さて、気になる「エアコン1台で全館暖房」についてです。結論から申し上げますと、断熱等級5以上の性能があれば「理論上は十分に可能」です。しかし、そこには「間取りの工夫」という重要な条件がつきます。 断熱性能が高い家は、熱を逃がさない能力には長けていますが、熱を勝手に遠くの部屋まで運んでくれるわけではありません。 例えば、1階のリビングにあるエアコンをつけたとして、その暖かい空気をどうやって2階の寝室や子供部屋に届けるかが課題になります。 最近の注文住宅でよく見かける「リビング階段」や「吹き抜け」は、実はおしゃれさだけでなく、この「空気の循環」を助けるために採用されることが多いのです。 逆に言えば、個室のプライバシーを重視して廊下やドアで細かく区切ってしまうと、エアコンのある部屋だけが暖かく、廊下に出るとヒヤッとする「温度差」が生まれてしまいます。 「エアコン1台」を実現するためには、家全体の空気がスムーズに流れるような設計と、サーキュレーターなどで空気を撹拌する工夫がセットで必要になると覚えておいてください。
初期費用アップと光熱費ダウンの損得勘定
ここで、私の専門分野である「お金」の話をさせてください。 「性能が良いのは分かったけれど、その分建築費が高くなるんでしょう?」というご質問、ごもっともです。 断熱等級4(従来の一般的な基準)から等級5にグレードアップする場合、建物の大きさやハウスメーカーにもよりますが、おおよそ数十万円から100万円程度の追加費用がかかることが一般的です。 「100万円」と聞くと、予算オーバーを心配して尻込みしてしまうかもしれません。しかし、ここで大切なのは「目先の建築費」ではなく「35年間のトータルコスト」で考えることです。
仮に100万円を住宅ローン(金利0.6%・35年返済)に組み込んだ場合、月々の返済額は約2,600円アップします。 一方で、断熱等級5の家に住むと、冷暖房効率が劇的に良くなります。 今の賃貸で、冬場の電気代やガス代にいくら払っていますか?もし、断熱性能のおかげで月々の光熱費が3,000円安くなるとしたらどうでしょうか。 「ローンの支払いは2,600円増えたけれど、光熱費が3,000円浮いた」のであれば、家計全体の実質的な支出はむしろマイナス(400円のお得)になります。 さらに、断熱性能が高い家は資産価値も維持されやすく、将来売却することになった際にも有利に働く可能性があります。初期投資としての100万円は、長い目で見れば十分に回収できる、非常に利回りの良い投資と言えるのです。
健康というプライスレスな価値
お金の計算も大切ですが、FPとして、そして一人の生活者としてお伝えしたいのは「健康と快適さ」の価値です。 所沢の冬、お風呂上がりに脱衣所が寒くて震えたり、夜中にトイレに行くのが億劫で我慢してしまったりした経験はありませんか? 家の中の温度差は「ヒートショック」の原因となり、体に大きな負担をかけます。これは高齢者に限った話ではなく、小さなお子さんや30代・40代の方にとっても、免疫力の低下や風邪の引きやすさにつながります。 断熱等級5の家では、部屋ごとの温度差が小さくなるため、玄関やトイレ、脱衣所に行っても「寒い!」と身構える必要がなくなります。 子どもたちが冬でも薄着で元気に走り回り、朝も布団からスッと出てきて朝食をしっかり食べる。そんな当たり前の健康的な生活が、家の性能によって支えられるのです。 医療費がかからなくなる、風邪で仕事を休むことが減る、何より家族が笑顔で過ごせる。これらはお金には換算できない、最大のメリットではないでしょうか。
所沢エリアでの家づくりで気をつけること
所沢エリアで土地探しから始める場合、注意したいのが「隣地との関係」と「日当たり」です。 所沢は比較的ゆとりのある敷地が多いエリアですが、それでも住宅密集地では隣の家が近接していることがあります。 断熱性能を高めることは重要ですが、冬の暖かさを確保するためには「日射取得(太陽の熱を取り入れること)」も同じくらい重要です。 南側の窓からたっぷりと日差しを取り込めれば、昼間は暖房がいらないほど暖かくなることもあります。 土地選びの段階から、「この土地なら冬の日当たりはどうだろう?」という視点を持ち、設計士さんと相談しながら、窓の配置や大きさを決めていくことが成功への近道です。
最後に
「断熱等級5」は、決して贅沢品ではありません。これからの時代、家族が健康に、そして経済的に暮らしていくための「標準装備」になりつつあります。 ただ、ハウスメーカーや工務店によって、標準仕様で等級5をクリアしている会社もあれば、オプション対応になる会社もあります。 「自分たちの予算で、どこまで性能にこだわれるのか」 「この見積もりは、将来の光熱費まで含めて本当にお得なのか」 そんな不安を感じたら、ぜひ一度立ち止まってシミュレーションをしてみてください。
私たちおうちの買い方相談室では、住宅ローンの無理のない返済計画だけでなく、性能とコストのバランスを含めたトータルな資金計画をサポートしています。 「暖かい家に住みたいけれど、予算が心配」という方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。あなたのご家族にぴったりの「暖かくて賢い家づくり」を一緒に見つけましょう。