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親からの援助は頼るべき?住宅取得資金贈与の非課税枠

親からの援助は頼るべき?住宅取得資金贈与の非課税枠

マイホーム計画が進むにつれて、誰もが一度は直面する「資金」の壁。 ここ所沢でも土地価格の上昇はじわじわと進んでおり、希望のエリアで注文住宅を建てようとすると、土地と建物を合わせて5,000万円〜7,000万円といった予算になることも珍しくありません。

そんな時、ふと頭をよぎるのが「親からの援助」です。 「頭金を少し出してもらえたら、ローンが楽になるのに……」 そう思う一方で、「親に甘えていいのか」「後々口出しされたら面倒だな」という迷いも生まれるもの。

今回はファイナンシャルプランナーの視点から、2025年時点での贈与税のルールと、親からの援助を受ける際の「心構え」について、数字と感情の両面から紐解いていきます。

2026年も継続!最大1,000万円の「非課税枠」とは

まず、一番気になる税金の制度について整理しましょう。 通常、人から年間110万円を超えるお金をもらうと「贈与税」がかかります。しかし、住宅購入資金に関しては、親や祖父母から援助を受けても一定額まで税金がかからない「特例」があります。

2024年の税制改正により、この特例は2026年(令和8年)12月31日まで延長されました。つまり、2026年に家を建てる皆さんは、この制度をフル活用できるチャンスがあるということです。

非課税になる限度額は、建てる家の性能によって2つに分かれます。

  • 質の高い住宅(省エネ等住宅):1,000万円まで非課税

  • 一般の住宅:500万円まで非課税

ここで注意が必要なのが「質の高い住宅」の条件です。2024年以降、この基準が厳しくなっており、「断熱等級5以上」かつ「一次エネルギー消費量等級6以上」といったZEH水準の性能が求められるケースが一般的です。 最近のハウスメーカーであれば標準仕様でクリアしていることも多いですが、工務店や建売住宅の場合は、契約前に「この家は贈与税の1,000万円枠を使える性能ですか?」と必ず確認してください。

「援助=ラッキー」とは限らない?住宅ローン控除との兼ね合い

「親から1,000万円もらえるなら、借金が減って万々歳!」 そう単純に喜ぶ前に、もう一つ計算しておきたいのが「住宅ローン控除」への影響です。

住宅ローン控除は、年末時点での「ローン残高」の0.7%が税金から戻ってくる制度ですが、実は「借入額」と「住宅の取得価格(贈与分を引いた額)」のいずれか少ない方が計算のベースになります。

少し極端な例ですが、5,000万円の家を買うために、4,000万円のローンを組み、1,000万円の贈与を受けたとします。 この場合、贈与された1,000万円は「自己資金」扱いとなり、ローン控除の対象から外れます。 現在の変動金利が非常に低い(例えば0.3〜0.4%台)場合、支払う金利よりも、ローン控除で戻ってくる税金(0.7%)の方が多くなる「逆ざや」現象が起きることがあります。 このケースでは、あえて贈与を受けずにフルローンを組んだ方が、手元の現金を温存でき、かつ経済的メリットが出る場合もあるのです。

もちろん、金利上昇のリスクを考えれば借入額を減らすのが正攻法ですが、「援助をもらうことが常に一番お得とは限らない」という視点は持っておいて損はありません。

「お金は出すけど口も出す」問題

FPとして多くのお客様の相談に乗っていると、数字以上に深刻なのがこの問題です。 親御さんとしては、大切なお金を出す以上、「失敗してほしくない」という親心から、ついつい口を出したくなってしまうものです。

「所沢なら、あのエリアはやめておきなさい」 「家相が悪いから、間取りはこう変えなさい」 「孫の部屋はもっと広くしなさい」

援助を受けた手前、むげに断ることもできず、結果として自分たちの理想とは違う家になってしまった……という後悔話は後を絶ちません。 特に、土地選びや間取りの決定権を誰が持つのか、という点は非常にデリケートです。

もし援助をお願いするのであれば、お金の話をする前に「家づくりに関しては、私たち夫婦の決定を尊重してほしい」と、やんわり、でもしっかりと伝えておくことが大切です。 それが難しいようなら、あえて援助を断り、自分たちの身の丈に合った予算で自由に建てるというのも、立派な選択肢の一つです。

援助金の賢い使い道は「予算アップ」に使わないこと

最後に、もし援助を受けることになった場合の、最も賢い活用法をお伝えします。 それは、「援助があるからといって、物件の予算を上げないこと」です。

「500万円援助してもらえるから、キッチンをグレードアップしよう」 「1,000万円もらえるなら、もう少し広い土地が買えるね」

このように、援助を「消費」に回してしまうと、将来の家計のリスクヘッジになりません。 援助金は、あくまで「ローンの借入額を減らすため(毎月の返済を楽にするため)」か、あるいは「将来の教育費やメンテナンス費として手元に残すため」に使うべきです。

特に子育て世帯の場合、これから教育費のピークがやってきます。 今の年収なら返せると思っていても、将来何があるか分かりません。 親からの大切なお金は、家の豪華さではなく、家族の将来の「安心」のために使ってください。

贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に行う必要があります。 期限を過ぎると特例が使えず、多額の税金がかかってしまうこともあるので、スケジュール管理もしっかり行いましょう。

「自分たちの年収で、援助なしだといくらまで借りられる?」 「贈与を受けた場合と受けない場合、35年でどっちが得?」

そんな疑問が湧いてきたら、ぜひ一度シミュレーションにいらしてください。 数字のプロとして、そして時には家族会議の調整役として、納得のいく家づくりをサポートさせていただきます。

 

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