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固定金利か変動か?“5つの分岐点”で決める金利選択術
住宅ローンを組むとき、誰もが最初に迷うのが「固定金利か、変動金利か」。
銀行の担当者もFPも、それぞれの立場で違うことを言うため、結論が出づらいテーマです。
けれど実際のところ、正解は一つではありません。
金利の差よりも、どんな考え方でローンを選ぶかが家計の安定を左右します。
金利差を「リスクの値段」として見る
固定と変動の差は、一般的に0.5〜1.5%ほど。
この差を「どちらが得か」でなく、“安心料”として支払うかどうかで考えるのが本質です。
変動金利は、今の返済額を最小限に抑えたい人向け。
金利上昇リスクを取る代わりに、低金利の恩恵を受けやすい。
固定金利は、金利が上がっても返済額が変わらない。
長期の安心と引き換えに、スタート時の支払額がやや高くなります。
「返済期間」と「残債の推移」で考える
ローンの金利タイプは、期間によって影響が大きく変わります。
変動金利は短期ローンに強く、固定金利は長期ローンに強い。
たとえば、
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15年以内で返済予定 → 変動のほうが総支払額は少ない可能性が高い
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30年以上の長期返済 → 金利上昇リスクを固定で抑える方が安心
途中で繰り上げ返済をする予定がある人は、
「返済期間をどのくらい短縮できるか」をシミュレーションしてから選びましょう。
家計の“耐性”を点検する
金利が1%上がると、月の返済額はおよそ1割増えると言われます。
この変動に家計が耐えられるかが、判断の軸になります。
ボーナスカットや教育費のピークが重なったとき、
「毎月2万円上がっても平気か」と自問してみる。
そこに不安を感じるなら、固定金利で守りを固めるのが現実的です。
逆に、貯蓄や副収入である程度の余裕があるなら、
変動金利で“リスクを引き受けてリターンを取る”選択も合理的です。
今後の金利動向を「予測」でなく“制度”で読む
金利は日銀の政策金利や国債利回りで動きますが、
一般の個人がその変化を正確に予測するのは不可能です。
そこで注目すべきは、「制度」と「金融機関の傾向」。
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日銀が長期金利を緩やかに上げる方針を出すとき
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銀行が固定金利を先行して引き上げるとき
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フラット35の金利が3ヶ月連続で上昇したとき
こうした“政策シグナル”が見えたら、変動から固定への見直しタイミングと考えて良いでしょう。
「出口戦略」を決めてから契約する
住宅ローンは“完済するまで”ではなく、“出口まで”で設計するものです。
転勤、売却、借り換え、建替え――ライフプランの変化によって、最適な金利タイプも変わります。
借り換えコスト(手数料・保証料・登記費用など)はおおむね30〜50万円。
これを回収できるかどうかも、選択の判断材料です。
金利タイプを決める前に、
「10年後、どんな暮らしをしているか」「その時点で残債はいくらか」
という未来の出口を一度イメージしてみる。
そこに合う金利を選ぶのが、最も合理的な方法です。
まとめ:数字より「眠れるかどうか」で決める
固定金利と変動金利のどちらが正しいかは、人によって違います。
選び方を一言で言えば、“安心して眠れるほう”を選ぶこと。
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金利リスクを受け入れてでも低く借りたい → 変動金利
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支出を固定して家計を守りたい → 固定金利
どちらを選んでも、途中で“見直せる”ことを忘れずに。
大切なのは、一度決めたら終わりではなく、
ライフステージごとにローンをチューニングする姿勢です。