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大掃除からの卒業!ズボラでも片付く「収納重視4LDK」の作り方と、後悔しない動線計画
12月も後半に差し掛かり、いよいよ今年も残すところあとわずか。 この時期になると、頭の片隅にちらついて離れない言葉がありますよね。そう、「大掃除」です。
テレビや雑誌では「年末こそスッキリ!」「断捨離で新年を迎えよう」なんて特集が組まれていますが、正直なところ、日々の仕事や家事、育児に追われている私たちにとって、大掃除はただただ重荷でしかありません。
特に、今賃貸アパートやマンションにお住まいの方。「片付けたくても、もう物理的にしまう場所がない!」と叫びたくなることはありませんか? クローゼットはパンパン、入りきらない冬物コートがリビングの鴨居に掛けられ、子どものおもちゃはカラーボックスから溢れ出し…。 「いつかマイホームを買ったら、収納たっぷりの家にして、モデルルームみたいに暮らすんだ」 そう夢見ている方も多いはずです。
しかし、「収納がたくさんある家=片付く家」ではありません。 広い納戸があっても、床下収納があっても、片付かない家は山ほどあります。
逆に言えば、片付けが苦手でも、「動線」さえ整っていれば、家は勝手に片付いていきます。 今回は、来年の年末こそ「大掃除なんてしなくていいや」と笑って過ごせるような、「収納重視かつ、散らからない4LDK」の作り方を、具体的な間取りや動線のアイデアと共にご紹介します。
「収納率」の罠と、ズボラな私たちが目指すべきゴール
家づくりを始めると、「収納率は床面積の12〜15%あると良い」という話を聞くかもしれません。 確かに数字としての目安は大切ですが、これにとらわれすぎると失敗します。
例えば、2階の奥の部屋に巨大なウォークインクローゼット(WIC)を作ったとしましょう。収納率はバッチリ上がります。 でも、毎日重たいコートを着て、カバンを持って帰ってきて、わざわざ2階の奥までしまいに行くでしょうか? 答えはNOですよね。結局、リビングのソファの上にコートが脱ぎ捨てられ、ダイニングテーブルの上にカバンが置かれる未来が見えます。
私たちが目指すべきゴールは、「収納の広さ」を確保することではなく、「使う場所のすぐ近くに、戻す場所がある」状態を作ることです。 これを「適材適所の収納」と呼びます。
特に、私たちのような子育て世代にとって、家の中での動き(動線)は戦場のようなもの。 「出したら戻す」という丁寧な暮らしなんて、忙しい平日には不可能です。だからこそ、「そこを通るついでに片付く」「アクション数が少ない」仕組みを、設計段階で組み込んでおく必要があるのです。
玄関で全てを終わらせる!最強の「ただいま動線」
リビングが散らかる最大の原因は、外から持ち込まれるモノたちです。 コート、帽子、マフラー、カバン、保育園の通園バッグ、郵便物、マスク…。これらがリビングに侵入した瞬間、部屋は雑然とします。
これを防ぐために、私が提案したいのが「シューズクローク(S.C)+ファミリーロッカー」のある玄関動線です。
1. シューズクロークは「通り抜け」型にする
玄関を入ってすぐ横に、土足のまま入れる収納スペースを作ります。 ここで靴を脱ぎ、ベビーカーや三輪車、ゴルフバッグなどの「外用アイテム」を置きます。 ポイントは、そこで行き止まりにせず、そのままホール(廊下)に上がれる「ウォークスルー型」にすること。 お客様はメインの玄関框(かまち)から上がり、家族はシューズクロークを通って上がる。これだけで、メインの玄関は常に靴が一足もないスッキリした状態をキープできます。
2. コートもカバンも玄関に「置き去り」にする
シューズクロークの続き、あるいは玄関ホールの一角に、家族全員分のアウターとカバンを置けるスペース(ファミリーロッカーやコートクローク)を設けます。 ここに「帰ってきたら必ずカバンと上着を置く」というルールを作れば、リビングに持ち込まれるのはスマホと手洗いのためのハンカチだけになります。
特に所沢の冬は寒いですから、厚手のダウンジャケットをリビングに持ち込むとそれだけで嵩張ります。花粉の季節には、外の花粉をリビングに入れないというメリットもありますね。
3. 郵便物とマスクの定位置
意外と困るのがポストに入っていたDMや請求書。とりあえずダイニングテーブルに置いて、そのまま山積み…なんてことになりがちです。 玄関付近のニッチ(壁のくぼみ)や収納棚に、一時置きのトレーを用意しましょう。不要なチラシはその場で捨てられるよう、小さなゴミ箱を置くのも鉄則です。 出かける時に忘れないよう、マスクや鍵の定位置もここに作ります。
キッチン周りは「隠す」と「見せる」のメリハリを
次に、主婦が一番長く時間を過ごすキッチン。 ペルソナである皆さんが希望される「収納重視」において、パントリー(食品庫)は必須アイテムと言えるでしょう。 所沢周辺には大型スーパーやドラッグストアも多いので、週末にまとめ買いをするスタイルの方も多いと思います。
1. ウォークインパントリーはいらない?
「憧れのウォークインパントリー(小部屋になっているタイプ)」を希望される方は多いですが、実はズボラさんにはハードルが高い場合も。 奥に入り込んでしまうと、何があるか見えなくなり、賞味期限切れの食材の墓場になってしまうことがあるからです。
私がおすすめするのは、「奥行きの浅い壁面パントリー」です。 キッチンの背面や横の壁一面を収納にして、引き戸で隠すタイプ。これなら開けた瞬間に全ての在庫が見渡せます。 奥行きは30cm〜45cmあれば十分。深すぎると奥のモノが取り出しにくくなります。 「一目で見渡せる」ことが、在庫管理を楽にし、無駄買いを防ぐコツです。
2. カップボードは「作業台」として使う
キッチン背面のカップボード(食器棚)は、家電を置くスペースを広く取りましょう。 電子レンジ、炊飯器、トースター、ケトル、コーヒーメーカー…。最近は調理家電が増えています。 これらをギチギチに置くのではなく、少し余裕を持たせておくと、配膳の際の一時置き場としても使えて便利です。
ゴミ箱スペースも忘れずに。カップボードの下をオープンにして、キャスター付きのゴミ箱を並べるのが一番使いやすく、見た目もスッキリします。蓋を開けた時の高さも計算に入れておきましょう。
洗濯ストレスをゼロにする「ランドリールーム」の革命
「洗う・干す・たたむ・しまう」 この工程があちこちに散らばっていると、家事は一気に面倒になります。 1階で洗って、重いカゴを持って2階のベランダへ行き、干して、取り込んで、1階のリビングでたたんで、また2階のクローゼットへ運ぶ…。 これでは、取り込んだ洗濯物がリビングのソファに山積みになるのも当然です。
これを解決するのが、「ランドリールーム」を中心とした水回り動線です。
1. 「室内干し」を前提にする
共働きのご家庭なら、天気や時間を気にせず干せる「室内干し」を基本設計にすることをおすすめします。 洗面脱衣室を少し広め(3畳〜4畳)に取り、天井に昇降式の物干し竿(ホスクリーンなど)を設置します。 除湿機やサーキュレーター用のコンセントも必須です。 ここで「洗う→干す」が完結します。
2. その場でしまえる「ファミクロ」の魔力
さらに最強なのが、ランドリールームの隣に「ファミリークローゼット(ファミクロ)」を配置する間取りです。 乾いた洗濯物を、ハンガーのまま隣の部屋に移動させるだけ。 「たたむ」という家事が、人生から消えます。 下着、パジャマ、普段着、タオル類など、毎日使うものは全てここに集約。 2階の各部屋のクローゼットは、シーズンオフの服や、冠婚葬祭用の服など、たまにしか着ない服の保管場所にします。
「1階で全てが完結する」 この便利さを一度知ってしまったら、もう元には戻れません。 子どもたちも、お風呂上がりに自分でパジャマを取って着てくれるようになりますよ。
4LDKをフル活用!「名もなき家事」を減らす部屋割り
「4LDK」という間取りを、単に「LDK+個室4つ」と捉えるのはもったいないです。 特に子どもが小さいうちは、個室(子ども部屋)は使いません。 ライフステージに合わせて、部屋の役割を柔軟に変えていく発想が必要です。
リビング横の和室(または洋室)はおもちゃ王国に
LDKに隣接する1部屋(4.5畳〜6畳程度)は、子どもが小さいうちは完全に「プレイルーム兼お昼寝スペース」として割り切ります。 ここにおもちゃ収納を集中させ、「寝る前にはこの部屋に全部投げ込めばOK」というルールにします。 リビングにおもちゃが散乱していても、とりあえずこの部屋に押し込んで扉を閉めれば、急な来客でもリビングは綺麗に見せられます。 「片付けなさい!」と怒る回数も減りますし、精神衛生上とても良いですよ。
2階の1室を「納戸」として活用
子どもが個室を使うようになるのは、小学校高層学年〜中学生くらいからです。それまでは、2階の1部屋を家族全員の「季節モノ収納部屋」として使います。 五月人形、クリスマスツリー、扇風機、加湿器、スーツケース、思い出の品…。 これらをまとめて置いておけば、他の部屋がスッキリします。 将来子ども部屋として使う時が来たら、その時にまた収納計画を見直せばいいのです。
後悔しないための「収納の落とし穴」チェックリスト
最後に、私がこれまで多くの住宅を見てきて感じる、「やりがちな失敗」とそれを防ぐためのチェックポイントをまとめました。
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奥行きがありすぎる収納はNG 布団をしまう押入れ以外は、奥行きは浅め(30cm〜45cm)が使いやすいです。深いと奥のモノが死蔵品になります。
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可動棚は「板の枚数」を確認 棚板が少なくて、上の空間がスカスカ…というのは非常にもったいないです。追加で棚板を注文できるか、あるいは最初から多めにつけてもらいましょう。
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コンセントを収納の中にも スティック掃除機の充電、お掃除ロボットの基地、Wi-Fiルーターの置き場所。収納の中にコンセントがあると、これらを隠して設置できます。電動自転車のバッテリー充電場所としても便利です。
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床下収納は「点検口」と割り切る キッチンの床下収納は、出し入れが面倒なので、普段使いの食品には向きません。非常食や、年に一度しか使わない土鍋などを入れる場所として割り切りましょう。あくまで「床下の点検口」がメインの役割です。
まとめ:家が変われば、性格も変わる?
「私は片付けられない性格だから…」と諦めている方。 それは性格のせいではなく、「家のせい」かもしれません。
戻しやすい場所に収納があり、無理のない動線ができていれば、人間は自然とモノを戻すようになります。 「あれどこだっけ?」と探す時間がなくなり、「片付けなさい」と子どもを叱る時間が減り、年末の大掃除に追われることもなくなる。
そんな「暮らしやすさ」を最優先した4LDKこそが、私たち子育て世代が目指すべき住まいです。
モデルハウスを見学する際は、豪華な設備や広さだけでなく、「朝起きてから寝るまで、自分がどう動くか」「洗濯物はどう流れていくか」をリアルにイメージしながら歩いてみてください。 そして、「これならズボラな私でもできそう!」と思える間取りに出会ってくださいね。
もし、「今の希望の間取りで本当に片付くかな?」と不安になったら、ぜひ私たちにご相談ください。 図面を見ながら、「ここに掃除機を置くと便利ですよ」「ここは扉がない方が使いやすいですよ」といった、具体的でマニアックな(笑)アドバイスをさせていただきます。
来年の今頃は、大掃除の心配をせず、家族でゆっくりコタツでミカンを食べていられますように。