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「ゲリラ豪雨・台風」の季節に備える!ハザードマップだけでは見抜けない土地の「内水氾濫」リスクと見極め方
近年、夏の終わりから秋口にかけて猛威を振るうゲリラ豪雨や大型台風。マイホームの土地探しを進める中で、ハザードマップを穴があくほど確認している方も多いのではないでしょうか。しかし、大きな川から離れているから安心と思い込んでいると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。それが雨水の排水が追いつかずに街があふれる「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。
土地選びの現場で数多くの現地を見てきた経験からお伝えすると、ハザードマップで「安全」とされる白色のエリアであっても、地形やインフラの状況によっては水が溜まりやすい場所が存在します。後悔しない家づくりのために、地図だけでは見抜けない浸水リスクの実際と現地での見極め方についてお話しします。
川から離れていても起きる「内水氾濫」の怖さ
マイホームの土地探しで「水害リスク」というと、多くの洪水ハザードマップが想定しているような、大きな河川の堤防が決壊して押し寄せる濁流をイメージするかもしれません。ですが、都市部や開発の進んだ住宅街で近年増えているのは、降った雨が下水道や側溝の排水能力を超えて街中にあふれ出す「内水氾濫」です。
大雨が降ると、通常は雨水が側溝や下水道を通って川へと流れていきます。しかし、短時間で一気に大量の雨が降ると排水処理が追いつかなくなります。さらに川の水位自体が高くなると、雨水を川へ排出できなくなり、逆流を防ぐために水門を閉めることで、街の中に雨水が溜まってしまうのです。
所沢市周辺の武蔵野台地のような一見フラットに見える地域でも、細かな地形の起伏や開発の歴史によって、局所的に水が集まりやすいポイントが存在します。「川から離れている高台だから絶対に大丈夫」とは言い切れないのが、内水氾濫の難しさです。
ハザードマップの「白色」を鵜呑みにしてはいけない理由
自治体が発行しているハザードマップは非常に優れたツールですが、万能ではありません。実は、ハザードマップにはいくつかの限界や特性があることを知っておく必要があります。
まず、ハザードマップの多くは「指定河川の氾濫(外水氾濫)」を中心に作成されているケースがあり、内水氾濫に特化したマップは別で用意されているか、そもそも詳細なシミュレーションが全域でカバーされていない場合があります。また、マップのメッシュ(計算の単位)は大まかなものが多く、数メートル単位の微小な低地までは反映されにくいのが現実です。
以前、あるお客様から「ハザードマップでは色のついていない綺麗な場所を見つけた」とご相談を受けたことがあります。現地を一緒に見に行くと、周囲の道路よりも敷地が30センチほど低く、道路の側溝の網(グレーチング)には枯れ葉やゴミが詰まっていました。過去の大雨の際に水が溜まった経験があるか近所の方に伺ったところ、「ここは急な豪雨が来ると一時的に足首くらいまで水が浸かるんだよ」という言葉が返ってきて、ハザードマップの表記だけでは見抜けないリアルなリスクを実感したことがあります。
現地調査で必ず確かめたい「地形と目印」のチェックポイント
では、気になる土地が見つかった際、どのようにして現地でリスクを見極めればよいのでしょうか。晴れた日の見学でもしっかり確認できるチェックポイントがいくつかあります。
現地チェックリスト
周辺道路との高低差:検討している土地が、前面道路や隣地よりも低くなっていないか
すり鉢状の地形(微地形):アプローチする道路が下り坂になっており、土地がその一番底に位置していないか
道路の側溝・雨水桝の状況:落ち葉や土砂で詰まっていないか、桝の数が極端に少なくないか
周辺のお宅の工夫:古い家の基礎が高く作られていたり、敷地の入口に止水板用の溝があったりしないか
特に意識したいのが「微地形(びちけい)」です。車で走っていると気づかないような緩やかな傾斜でも、徒歩でゆっくり歩いてみると「ここは周囲から水が集まってくる場所だな」と体感できることがあります。所沢市内でも、古くからの集落や旧道沿い、昔は水田や小川だった場所を再現した遊歩道の近くなどは、周囲よりわずかに低い場所が存在します。
また、周囲の既存住宅を観察するのも貴重な情報源です。築年数の経った家々で、玄関のステップが異常に高かったり、ブロック塀が頑丈に補強されていたりする場合、過去に道路冠水などを経験して対策をとった名残である可能性があります。
豪雨に強い家を建てるための具体的な予防策
もし気に入った土地が少し低地気味であったり、内水氾濫のリスクがゼロではないと分かったりした場合でも、即座に購入を諦める必要はありません。あらかじめリスクを想定した上で、建築計画に適切な対策を組み込めば、安心して暮らせる住まいをつくることができます。
1つ目の対策は「盛土(もりど)と深基礎」です。敷地全体を周辺道路よりも高く土盛りをしたり、建物の基礎自体を通常より高く施工(深基礎)したりすることで、床下浸水や床上浸水のリスクを大幅に減らすことができます。外構計画の段階で、駐車場から玄関へのアプローチに少し傾斜をつけ、水が建物に向かって流れない設計にすることも効果的です。
2つ目は「設備の配置計画」です。エコキュートや給湯器の屋外室外機、電気の引き込み位置などを、水の影響を受けにくい少し高めの位置に設置する工夫が挙げられます。近年の住宅設備は精密機器が多いため、足元が少し浸水しただけで機器が全滅し、数十万円単位の修繕費がかかってしまうことを防ぐためです。
3つ目は「雨水貯留施設や浸透桝の設置」です。自分の敷地に降った雨を一時的にプールする雨水タンクや、地中に染み込ませる浸透桝を設置することで、自分の家から道路へ一気に水が流れ出るのを防ぎ、地域全体の氾濫リスク軽減にも貢献できます。自治体によっては、これらの設置に補助金を出しているケースも多いため、確認してみると良いでしょう。
不動産会社やハウスメーカーへ正しく質問するコツ
土地の購入手続きや打合せを進める中で、リスクについて担当者に確認する際は、聞き方にも少しコツが必要です。単に「ここは浸水しますか?」と尋ねても、「ハザードマップ上は大丈夫です」という模範解答で終わってしまうことが多いからです。
具体的には、以下のように一歩踏み込んで質問してみることをおすすめします。
「過去にこの周辺で道路が冠水した事例や、近隣からの相談があったか地元の自治体や土地の売主様に確認できますか?」 「この土地で家を建てる場合、道路からの高低差を考慮して基礎の高さをどのくらいに設定するのが望ましいですか?」
このように具体的に質問することで、実務的なアドバイスを引き出しやすくなります。また、契約前に行われる「重要事項説明」の場だけでなく、土地の検討段階からこうした懸念を共有しておくことが、建築会社との信頼関係構築にもつながります。
家づくりは、家族の安全と資産を守るための大きなプロジェクトです。お盆休みや秋の台風シーズンを前に、気になるエリアの土地を雨の日やその翌日に見に行ってみるのも、実はとても勉強になります。地図上のデータだけに頼らず、自分の目と足で現地の空気感や地形を感じ取りながら、心から納得できる失敗のない土地選びを進めていきましょう。