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土地価格“下がる/上がる”の見分け:供給・道路・用途地域の実際
「この土地、今が買い時ですか?」
よく聞かれる質問ですが、答えはいつも“条件次第”。
土地の価格はタイミングではなく、構造的な要因で上下します。
同じエリアでも、供給の出方・道路の条件・用途地域の変化で、将来の値動きはまったく違います。
供給が止まるエリアは“底堅い”
土地価格が上がる地域には共通点があります。
それは、「新しく土地が出てこないこと」。
すでに区画整理や開発が終わっており、再開発の余地が少ないエリアは、
供給が限られる分、需要がじわじわと積み上がります。
所沢でいえば、上新井・向陽町・中新井などの既成住宅地がその典型。
駅距離が多少あっても、造成済みでインフラが整ったエリアは“安定型”です。
一方、開発余地の多い東所沢・下安松方面では、
数年単位で大規模分譲が続いており、価格が横ばいになりやすい。
供給量の変化は、“相場を押し下げる静かな力”になります。
道路条件は「幅」と「接し方」で見る
土地の価値を決めるのは、日当たりよりも道路の質です。
前面道路が4m未満の場合、再建築時にセットバックが必要になり、
有効面積が減って評価も下がります。
また、道路の“方位”だけでなく“接し方”も重要。
角地や南面道路は人気ですが、交通量が多い幹線沿いは敬遠されがち。
所沢では、駅徒歩15分圏でも私道が入り組む地域が多く、
「接道義務は満たしているが、再建築時に費用がかかる」土地も少なくありません。
価格だけ見て判断せず、再建築時の負担を含めて読むのが実務的です。
用途地域が変わると“風向き”が変わる
市街地の地価は、建てられる建物の用途で決まります。
つまり、用途地域の違い=将来の自由度の違い。
第一種低層住居専用地域では環境が守られる一方で、
商業施設や共同住宅が建てにくく、将来の転用が難しい。
逆に、準住居や近隣商業地域は、
幹線道路沿いであれば店舗兼住宅など多用途が可能で、
事業用としての価値が上がります。
所沢駅周辺では、再開発による用途地域変更が進行中で、
用途境界に近い土地は将来的に“用途緩和”で跳ねる可能性も。
都市計画の「用途地域図」を確認するだけでも、
中長期の値動きがかなり読めます。
地価が下がるのは“物件単位の要因”より“地域構造の変化”
「地価が下がった」というと、物件固有の問題と思われがちですが、
実際には周辺の交通網・人口構成・インフラ更新計画といった
“地域構造”の変化が主因です。
たとえば、新バイパスの開通で交通量が増えた、
保育園や学校が統廃合された、
近隣に商業施設が移転した——そうした小さな変化が
5年後の相場を決めていきます。
“上がる土地”を探すより、“下がらない土地”を選ぶ
短期的に値上がりする土地は、ほとんどが開発や再開発に連動します。
一般の住宅購入者にとって重要なのは、
“価格が急に下がらない土地”を選ぶこと。
供給が限られ、道路条件が良く、用途の自由度が高い土地は、
いつの時代も一定の需要があります。
地価を読む力とは、「伸びる場所」ではなく「崩れない理由」を探す力です。